40代療法士の皆さん、こんなお悩みをお持ちではないですか?
「転職を考えているけど、どの職場を選べばいいんだろう?」
「急性期で働いているけど、体力的にもお金的にもきつくなってきた…」
「次の転職先では、働きがいと給料の両方を得たい」
実は、生活に合わせた働き方ができて、かつ昇進や給料アップが見込める職場はあります。
そしてそれは、急性期・回復期病院では難しい場合が多いです。
なぜなら、急性期・回復期病院はハードワークである場合が多く、スキルアップ目的の若手職員が集まりやすい職場だからです。
私はいま、療養型病棟・地域包括ケア病棟・老健・特養を持つ法人でリハビリ科長をしています。
30人を超えるリハビリ職員と働いており、その半数以上は中途採用者。
私が働いてきた経験と、転職者から聞いたリアルな情報をもとに記事を書いているよ
結論、年収アップを目指す40代以降の転職にオススメしたいのは、こちらの2つの職場です。
- 介護老人保険施設
- 訪問リハビリテーション事業所
その理由についても、この先で詳しく解説しています。
この記事を読めば、これから進む道の選択肢を広げることができるようになりますよ。
ぜひ最後までお読みください !
40代療法士の大前提
まず大前提として、私たち40代療法士の特徴をおさえておきましょう。
体力が低下してくる
リハビリ職員の業務は体が資本です。
しかし40代になると、若い頃に比べて体力の低下を実感することが多くなります。
長時間の立ち仕事や、患者さんの移乗介助など、リハビリ業務は体に大きな負担をかけます。
歳を取るにつれて疲労が溜まりやすく、回復にも時間がかかるようになり、体力を持続させるのが難しくなることが増えてきます。
書いていて悲しくなりますが、これが現実です。
私のまわりでも、ヘルニアや適応障害と診断されながらも働いている40代、50代はいます。
彼らは周りのサポートを受けながら頑張ってくれていますが、やはり主戦力として職場を任せることは難しいです。
40歳過ぎたら無理は禁物!!
40歳を過ぎたらこれまで以上に、体と心に負荷をかけすぎない職場を選ぶ必要が出てきます。
プライベートの優先度が高い
40代は仕事以外にも家庭やプライベートの責任が増える時期でもあります。
若い時は仕事して帰って寝るだけ、残業・休日出勤ドンと来いという生活をされていた人も、40過ぎればそうはいきません。
子育てや親の介護、家族との時間を大切にしたいと考える人も多く、仕事だけにエネルギーを注ぐのは難しくなります。
家庭を持っていない人であっても、プライベートの時間を充実させることで心身の健康を保つ重要性は高いでしょう。
仕事にやりがいを見出すのは大切なことですが、仕事と生活のバランスを取ることはキャリアの継続にもつながります。
もしプライベートの時間が取りにくい職場で働いているのなら、別の職場に身を移すことも検討してみてください。
病棟には4種類ある
40代の転職先として急性期と回復期はおすすめしません、というのがこの記事の結論なのですが、そもそも急性期病棟と回復期病棟以外にも病棟があることをご存知ですか?
ここでは主となる4つの病棟の特徴と、そこでの業務内容をご紹介していきます。
一般病棟(急性期)
急性期病棟では、患者が病気や怪我の急性期にある段階での治療を担当します。
主な目標は早期治療と迅速な退院に向けたリハビリであり、平均在院日数は約16日程度。
短期間で集中的に介入することが求められ、土日祝の勤務もあります。
1日あたりのリハビリ単位数は、療法士1人当たり18単位を目標に進めることが王道。
1単位20分なので、18単位を達成するには6時間リハビリ業務を行う必要があります。そこに移動時間や記録業務、評価表や計画書の作成、他職種との情報交換の時間がかかるため、時間内に終わらせるにはかなり効率良く業務を進める必要があります。
さらに実習生の受け入れや勉強会を積極的に行っている職場が多く、スキルアップには最適な環境です。
リハヒリ職員の数は多いですが、20〜30代職員の比率が高くなっています。
回復期病棟
回復期病院では、急性期を脱した患者の機能回復を目指してリハビリが行われます。
急性期よりも介入期間が長く、原因疾患によりますが最長180日リハビリ介入することができます。
患者さん一人あたりのリハビリテーション提供可能単位数は1日最大9単位(3時間)で、生活場面を想定したリハビリにじっくりと取り込むことができます。
長期間にわたるリハビリを提供できる点は魅力的ですが、調査研究事業の結果によればPTOTの1日平均単位数は20単位というデータもあり、身体的負担はかなり大きい点に注意が必要です。
やりがいはトップクラスですが忙しさもトップクラス。
実習生の受け入れや勉強会を積極的に行っているので、こちらも若手に人気の職場となっています。
療養型病棟(維持期病棟)
療養型病棟は、長期的な療養を必要とする患者に対して、ゆっくりとしたペースでリハビリを行います。
私が今働いているのは、この療養型病棟だよ
リハビリ単位数は急性期や回復期に比べて少なく、一人の患者さんに対して1~2単位程度の関わりとなるため療法士1人あたりの負担は軽減されます。
長期的なケアが中心であり、基本的に患者さんの症状が安定しているため、業務をルーティンワークで進めることも可能です。
ただし寝たきりでコミュニケーションを取れない方が入院されているケースも多く、患者さんやご家族から感謝される機会は少ないのが現状です。
入退院のペースがゆっくりで患者さんの変化も見られにくいため、経験を積みたい若手職員には魅力を感じにくい病棟といえます。
地域包括ケア病棟
地域包括ケア病棟は患者さんの在宅復帰を支援するための特別な病棟で、主な目的は患者さんが安心して自宅や施設に戻れるよう支援することです。
入院期間は最長60日で、患者さんの状態や在宅サービスの準備状況に応じて退院時期を決定します。
私の病院の地ケア病棟働では、40代PTさん1名が専従で働いているよ
疾患別リハビリテーション行う場合は1人につき1日平均2単位以上が義務付けられています。
それに加えて、従来の20分1単位という制約にとらわれない「補完代替リハビリテーション」を提供することも可能。
これには集団リハビリや日常生活動作訓練も含まれており、より自由度の高いリハビリテーションを提供することができます。
病名に関係なく入院されるため幅広い疾患に対応するスキルが求められますが、急性期病棟や回復期病棟よりも安定した勤務体制を維持できる点が魅力です。
40代に急性期と回復期をおすすめしない3つの理由
ここまで4つの病棟の特徴をご紹介してきました。
この中で急性期病棟と回復期病棟を40代転職におすすめしない理由は、3つあります。
- 心身ともに負担が大きい
- 若手職員の指導を求められる
- 昇進がしにくい
一つ一つ見ていきましょう。
心身ともに負担が大きい
ご紹介した通り、急性期・回復期病棟では1日18〜20単位のリハビリをこなすことが求められます。
そのためには必然的に患者さんに対して身体的な介助を行う機会が多くなり、長時間の立ち仕事も避けられません。
特に腰痛や肩こりなどの症状が出やすい年齢層では、このような身体的負担が後々に大きな問題となりえます。
また早期退院や効果的な治療を求められるため、短期間で成果を出すプレッシャーが常にかかります。さらに「単位」というノルマに追われることで、精神的なストレスが溜まりやすく、慢性的な疲労感を感じる中高年の療法士にとっては大きな負担となります。
若手職員の指導を求められる
40代になると、業務だけでなく、若い世代の療法士を指導する役割も求められることが多くなります。
急性期や回復期の病院ではスキルアップのために入職する若手職員が多いため、指導に割く時間も長くなりがち。もともとの業務量も多いため、けっきょく勤務時間外に指導を行っている療法士さんは多いです。
時間の融通が効く若手職員はそれでいいかもしれませんが、40代以降の療法士にとって時間外労働が続くことは死活問題。
できるだけ早く帰ってプライベートの時間を充実させたい、という私たちに、このような職場はかなり厳しい環境と言えます。
昇進がしにくい
リハビリテーション職員の平均年収は約427万円と言われていますが、40代になると生活費や教育費などの出費が増えるため、年収に対する不満が大きくなります。
急性期や回復期で働く場合、昇給の機会は限られており、長時間労働に対して十分な対価が得られないと感じることが少なくありません。
さらにリハビリ職員の数が多いと100人を超える病院もあり、その中で昇進するのは至難の技。
昇進ルートに乗れていないと感じたら、昇進が望める職場に早めに移ることをぜひ検討してみてください。
療養型病棟と地域包括ケア病棟の魅力
同じ病院勤務でも、療養型病棟と地域包括病棟であれば40代が活きる道が見えてきます。
その理由はこちら。
- ノルマが少なく、身体的・精神的負担が少ない
- 同年代の職員が多く、価値観の合う人たちと働ける
ノルマが少ない
さきほどご紹介した通り、療養型病棟と地域包括ケア病棟のリハビリ単位数は急性期や回復期に比べて少なく、療法士1人あたりの負担は軽い傾向があります。
もちろん仕事ですので責任は伴いますが、一般的にノルマは少ないと考えてほぼ間違いないです。
価値観の合う人たちと働ける可能性が高い
療養型病棟・地域包括ケア病棟は患者さんの入れ替わりが少なく、経験を積むには不向き。
と考えられているため、若手職員からは選ばれにくい職場です。
実際は手技を超えた様々なアプローチが求められる難しい職場ではあるのですが、維持期の患者さんから感謝される場面は少なく、やはり若手からは敬遠されているのが実情です。
実際、私が科長を務める病院でも30〜50代の職員が大半を占めています。
これは裏を返せば、同じような年代の、価値観が似ている同僚が集まっているということ。
お互い家庭の時間が大切ということを理解しているので自然と助け合えますし、指導する・される立場ではなく対等に話をすることができます。
これは大きなメリットと言えます。
ただ一方で、同年代が集まっているため、昇進しにくいという側面もあります。
給与面の伸びにくさを解消するためには、昇進ルートに乗って管理職を目指すか、別の職場を検討することが必要になる点に注意が必要です。
〜病院以外で探すなら〜 おすすめ転職先は2つ
それでは生活に合わせた働き方ができて、かつ昇進や給料アップが見込める職場はあるのでしょうか?
結論、この二つの職場ではそれが叶う可能性があります。
- 介護老人保険施設
- 訪問リハビリテーション事業所
介護老人保険施設
老人保健施設(老健)は、要介護者が在宅復帰を目指してリハビリを行う施設です。
40代の療法士にとっては、豊富な経験を活かし、リハビリテーションのプロフェッショナルとして活躍できる場となります。
ここで知っておくべきポイントは2つ。
- 老健には超強化型 > 在宅強化型 > 加算型 > 基本型 > その他型があり、左にいくほど在宅復帰に力を入れていて忙しくなる
- 超強化型と在宅強化型では”積極的なリハビリテーション”(全員に対して週3回以上の個別リハビリを実施すること)が義務づけられているため、土日祝問わず出勤を求められる場合がある
つまり、その他型、基本型、加算型老健であれば特に生活とのバランスが取りやすいということ。
生活を優先して考えたい、という方は、検討施設がどの型の老健なのかをしっかり確認してください。
給与面はやや低水準となりますが、リハビリ職員の数が病院ほど多くはないため戦略的に働けば昇進・給料アップも狙いやすいという利点があります。
病院で経験を積んだ40代療法士の第二の道として、検討する価値は十分にありますよ。
老健についてはこちらの記事でも詳しく説明しています。
訪問リハビリ
訪問リハビリは、患者の自宅を訪問してリハビリを提供する仕事です。主に在宅療養中の高齢者や障害者が対象で、生活の場での自立支援が目的となります。
- インセンティブ制(いわゆる出来高制)を導入している職場であれば、高収入が狙える
- パートでも時給が高いため、生活スタイルに合わせた働き方ができる
職場によってはインセンティブ制(いわゆる出来高制)を導入しており、病院や施設で働くよりも高収入を狙うことができる点が魅力。
働く時間が比較的柔軟に調整でき、ワークライフバランスを重視する療法士に適しています。
パートでの募集をかけている事業所も多いため、フルタイム勤務が難しい人でも一定の収入を得ることが可能です。
まとめ
この記事では、40代の転職に急性期と回復期をおすすめしない理由をご紹介してきました。
養成校卒業直後には選びにくかった療養型や施設、訪問リハビリという道も、今なら選択肢に入るのではないでしょうか。
人生100年時代、ライフステージに合わせて職場を変えることは決して悪くない選択です。
私自身、転職して楽しそうに働く40代50代療法士を何人も見てきています。
転職活動自体はノーリスク。
広い視点で働き方を考える経験は、決して無駄になりません。
まずは一歩、踏み出してみませんか?
こちらの記事では、登録無料でさまざまなサービスを受けることができる転職エージェントと転職サイトをご紹介しています。
そもそもどの道に進めばいいのか分からない、という方は、こちらの記事も是非ご覧くださいね。
あなたの挑戦を応援しています!
それではよき療法士ライフを !
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