こひつじさん老健での仕事ってどんな感じなのかな?
私がリハビリ職の転職先としておすすめしている職場の一つが、老健です。


老健のリハビリは、ご利用者さんの生活を長期的に支える大切な仕事です。
ここではそんな老健の
- 仕事内容
- 年収や将来性
- 老健で求められるリハビリ職の特徴
- 転職成功のコツ
などを詳しく解説します。
まずは結論
- 昇進しやすい
- ご利用者さんと長期的に関わることができる
- ワークライフバランスが取りやすい
「このまま今の職場で働き続けていいのかな」
「自分にもっと合う場所って、あるんじゃないかな…」
そう感じたことがあるリハビリ職は、ぜひ最後まで読んでみてください。



気になる部分だけでも、ぜひ目次からチェックしてみてね


現場で見てきた「リアル」をお届けします
- 法人内の病院、老健、特養を統括するリハ科長
- 転職活動を行った結果、今の職場を選択
- 採用担当として10名以上を採用
- 40代50代を採用するメリットを知っている
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老健ってどんな職場 ? 理解しておきたい5つの型


まずは「老健ってどんな施設?」という疑問にお答えしていきます。
「ろうけん=介護老人保健施設」は、介護を必要とする高齢者の自立を支援し、家庭への復帰を目指すために、医師による医学的管理の下、看護・介護といったケアはもとより、作業療法士や理学療法士等によるリハビリテーション、また、栄養管理・食事・入浴などの日常サービスまで併せて提供する施設です。
公益社団法人 全国老人保険施設協会 公式ホームページより
リハビリ職向けにまとめると、
要介護者の在宅復帰を目指して、生活全般を通したリハビリを提供する施設
という感じです。
ただし、在宅復帰を目指す本気度は、施設によってかなり差があります。
在宅復帰を目指すと言いながら、特養のようにずっと利用しているご利用者さんも多いんだ
そこで厚生労働省は、2018年に老健を5つの型に分けました。
老健の5つの型とは?
厚生労働省の介護報酬改定(2018年)により、老健は以下の5つの類型に分類されています。


| 類型 | 特徴 |
|---|---|
| 超強化型 | 最も在宅復帰に力を入れており、積極的なリハビリが行われる |
| 強化型 | 超強化型に次ぐ在宅支援力。リハビリの頻度も高め |
| 加算型 | 一定の在宅復帰支援機能を持つ、比較的バランスの良い施設 |
| 基本型 | 標準的な老健。業務量は比較的落ち着いている |
| その他型 | 基準に満たない老健。利用者の在宅復帰率は低め |



え、なんだか難しそう…
と、身がまえなくても大丈夫。
ここだけ押さえてください。
どの型の施設で働くかによって、療法士に求められる働き方や忙しさも変わってきます。
老健リハビリ職の仕事内容


老健リハビリ職の基本的な仕事内容は、次のようなものです。
- ご利用者への個別リハビリ(週2回以上)
- 短期集中リハビリ対象者には週3回以上(1回20分以上)
- リハビリ計画書の作成と定期的な評価・見直し
- 入退所前後の居宅訪問・家屋調査
- 他職種との連携・情報共有(ケアマネや看護師など)



なんだか病院と似てるような、ちょっと違うような…?



そうだね。
病院と違うのは、加算という評価制度があることだよ。
「加算」とは
病院でいう「診療報酬」のように、老健では加算を取ることが施設収益につながります。
どんな加算があるかを理解することで、どんな仕事が求められているかがわかります。
リハビリに関わる代表的な加算を見ていきましょう。
リハビリテーションマネジメント加算(I・II)
【目的】多職種で計画を作成・説明し、継続的に見直す体制づくり
【単位】(I)53単位/月 (II)33単位/月
算定要件:
- 医師、リハビリ職等が共同してリハビリテーション計画を作成すること
- 作成した計画について、入所者又はその家族に説明し、同意を得ること
- リハビリテーションの進捗状況を定期的に評価し、必要に応じて見直しを行うこと
- LIFEへのデータ提出とフィードバック情報の活用を行うこと
- 加算(Ⅰ)は上記に加え、口腔・栄養管理との一体的な実施や情報共有を行うことが求められる
短期集中リハビリテーション加算
算定要件:
- 医師または医師の指示を受けたリハビリ職が集中的なリハビリテーションを実施すること
- 入所日から3ヶ月以内に、週に概ね3回以上、1日当たり20分以上のリハビリテーションを集中的に実施すること
- 原則入所時及び、1月に1回以上ADL評価の実施と評価結果のLIFE提出をおこない、必要に応じてリハビリテーション計画を見直ししていること((Ⅰ)のみ)
認知症短期集中リハビリ加算
【目的】認知症の利用者に対するリハビリの強化
【単位数】240単位/日
主な要件:
- 認知症の入所者に対して、医師又は医師の指示を受けたリハビリテーション専門職が、認知症の症状の進行を遅らせるための認知症リハビリテーションを個別に実施すること
入所前後訪問指導加算(I・II)
【目的】居宅環境の把握とスムーズな在宅復帰支援
【要件】入所前30日〜入所後7日以内の居宅訪問
【単位】(I)450単位、(II)480単位
算定要件:
- 入所期間が1月を超えると見込まれる入所者に対し、入所予定日前30日から入所後7日以内に退所後に生活する居宅を訪問すること
- 退所を目的とした施設サービス計画の策定及び診療方針の決定を行うこと
- (II)は退所先が居宅か社会福祉施設等の場合に、多職種による会議を開催し退所後の生活に係る支援計画を策定した場合に算定可能



色々な加算が収益につながるんだね



老健では「加算を意識した働き方」が、大事になってくるよ
では次に、老健の5つの型別の仕事内容の違いを見ていきましょう。
【ゆったり働く】その他型・基本型・加算型
その他型・基本型・加算型では、業務のペースが比較的ゆるやかです。
主な業務内容
- 個別リハビリ(週2回以上、1回は集団リハビリでもOK)
- 計画書の作成と評価
- 短期集中リハビリや在宅復帰支援は該当者のみ
- 居宅訪問も頻度は少なめ
- 多くの施設が土日祝休み/残業ほぼなし



個別リハビリは週2回、そのうち1回は集団リハビリでもいいんだね



回転率が低くて新規入所者の数も少なめだから、ゆったり仕事をしているところが多いよ
「プライベートの時間をしっかり取りたい」という人にはぴったりの環境となっています。
【やりがい重視】強化型・超強化型
一方で、強化型・超強化型は在宅復帰に力を入れる施設。
回転率が高く、療法士の存在感を発揮できる環境です。
主な業務内容
- ご利用者全員に週3回以上の個別リハビリを実施(必須)
- 短期集中リハビリや家屋調査業務が多い
- 加算取得に向けた情報収集や会議参加などの業務も多め
- 土日出勤ありの職場が多い



ここでは週3回、絶対個別リハビリが必要なんだね



その通り!退所に向けたチーム支援や、在宅生活を整える仕事も多いよ
老健リハビリ職の年収と将来性


令和3年時点での理学療法士全体の平均月収と施設で働く場合の平均月収は、下記の通りです。
【理学療法士の平均月収】
| 職種 | 平均月収 |
|---|---|
| 理学療法士全体 (作業療法士,言語聴覚士,視能訓練士を含む) | 約296,000円 |
| 介護施設で働く理学療法士 (作業療法士,言語聴覚士,視能訓練士を含む) | 351,230円 |
厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果概要」https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/21/dl/r03gaiyou.pdf)
老健(介護老人保健施設)で働くリハビリ職員(PT・OT・ST)の平均年収は、全国平均で 約420万~450万円前後 です。
厚生労働省の「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」や、転職サイトの統計によると、老健の常勤理学療法士の平均月給は約35万円(年収換算で約420万円)と報告されています。
介護施設で働いた方が給与が高いのは、処遇改善加算や役職手当などが加わることが多いためと考えられます。
職種別の参考平均
OT、STはPTよりも少し落ちる傾向があります。
しかし法人の規模や地域(都市部・地方)による影響が大きいため、気になる人は自宅近くの求人情報を覗いてみてくださいね。
老健の主流は「リハビリ重視型」にシフト中
最近の傾向として、超強化型の施設がどんどん増えてきています。
以下のグラフは、老健の類型分布の推移を示したものです。


この6年の期間で、超強化型施設は3倍以上に増え、逆に基本型の施設は1/2まで減っています。
現時点では、「加算型」「超強化型」老健でのリハビリ職員の平均年収を明確に比較した公的な統計データは存在しません。
しかし、超強化型老健は次のような特徴を持つため、給与水準が高くなる傾向があると言われています。
- 超強化型老健は、在宅復帰率・リハビリ専門職配置率などの要件を満たし、介護報酬が高い。
- 報酬水準が高いため、施設全体の収益力が上がり、職員の給与水準に反映されるケースがある。
- 特にリハ職では、「個別リハビリ提供回数」「在宅支援担当の多さ」など要求水準が高いため、経験値や役職手当で差がつく傾向がある。
以上のことから、これから給与水準の高い施設が増えていく可能性が十分あると考えられます。
リハビリ職が老健に転職するメリット
ここまで、老健での仕事内容や施設の違いについて詳しくご紹介してきました。
「なんだか大変そうだな…」と思った方もいれば、「意外と自分に合っているかも」と感じた方もいるかもしれません。
ここでは老健に転職することで得られる3つのメリットについてご紹介していきます。
① 昇進しやすく、新たな資格にも挑戦しやすい
老健はリハビリ職の配置人数が少ないため、「昇進」や「リーダー職へのステップアップ」がしやすい環境です。



昇進って、一部の人にしかできないイメージがあるんだけど…
たしかに大きな病院では、50人以上の療法士の中から昇進を目指さなくてはいけません。



でも老健では、職員数が平均4〜6人程度だから、チャンスを掴みやすいよ
老健のリハビリ職配置
令和3年(2021年)の調査によると、
- 理学療法士:平均2.5人/施設
- 作業療法士:平均1.4人/施設
- 言語聴覚士:平均0.4人/施設
→ 合計で1施設あたり約4.3人
つまり、「小規模チームの中でのリーダーを目指せる」という特徴があります。
資格取得にも向いている環境
業務時間にゆとりがある老健では、資格取得の勉強時間を取りやすいというメリットもあります。
たとえば以下のような資格に挑戦できます。
- ケアマネージャー:介護保険制度を理解し、チーム全体をコーディネートする
- 福祉住環境コーディネーター:過ごしやすい住環境について学び、住宅改修の提案にも活かせる



転職した後のキャリアにも使えそう!



現場経験を活かした「次のステージ」を考えている人にも、老健は向いてるんだよ。
② ご利用者と長く関わることで、やりがいを感じやすい
病院では年々入院期間が短くなってきています。
「これから本番!」という時に患者さんが退院してしまった、という経験をしてきたリハビリ職は少なくないはずです。
一方老健では、1人のご利用者さまに対して入所→在宅復帰→デイケア利用と長く・継続的に関わることができます。
老健の多くは、以下のようなサービスを併設しています。
- デイケア(通所リハ)
- 訪問リハビリ
これらを活用することで、入所中だけでなく退所後の生活も支え続けることができます。
在宅復帰支援を終えたご利用者さんとデイケアで再会して、「先生のおかげで、家で安心して過ごせてます」なんて言ってもらえることも。



それって、すごくうれしいかも…



「ただの訓練」ではなく、生活に根ざした支援をしたい人には嬉しい職場だよ
③ ワークライフバランスの柔軟性が高い
老健は、自分のライフステージに合わせて働き方を柔軟に選びやすい職場です。
- 今は子育て優先 → 基本型・加算型
- やりがいを追求 → 強化型・超強化型
といったように、型によって働き方を調整することが可能です。



超強化型だと毎日残業になるの?



そうとも言い切れないよ
「超強化型=忙しすぎる」と思われがちですが、実際には 残業ゼロ・月2回程度の土日出勤・代休あり という職場も存在します。
私の法人内老健では、ご利用者100人に対して療法士6人。
無理のない体制でお互いフォローすることで、業務はすべて時間内に完結しています。
忙しさや時間外業務は、十分な人員を配置している施設選ぶことでコントロールできます。
「土日は家族の時間にしたい」
「でも、やりがいも捨てたくない」
そんな想いを両立できる老健は、あなたの身近にあるかもしれません。
老健で重宝されるリハビリ職の特徴


ここまで、老健で働くメリットについてご紹介してきましたが、もうひとつお伝えしておきたいことがあります。
それは、老健という職場が経験者を求めている側面もあるということ。
ここからは、どのようなリハビリ職が老健で重宝されるのか?
管理職の目線でお伝えしていきます。
① 臨床経験が豊富で、指導コストが少ない
40代をはじめとする経験者が老健で重宝される一番の理由。
それは「即戦力として働けること」です。
若手の療法士はまだ経験が浅いため、細かなフォローがどうしても必要になります。
- 計画書のチェック
- アセスメントの精度
- ご家族への説明の仕方 など…
もちろん若い人材の伸びしろも魅力ですが、老健のように少人数体制の職場では、一人にかけられる指導時間が限られているのが現実。
経験豊かなリハビリ職であれば、
- 最初から計画書や訓練プログラムを自分で組める
- 書類業務も一通り理解している
- 他職種とのやり取りもスムーズにこなせる
といった能力が期待されます。



指導にかかる時間もタダではないから、経験者ってすごく有難い存在なんだよ
② 対人トラブルが少なく、信頼を獲得できる
老健は、医師・看護師・介護士・ケアマネなど、多職種が協力しながら1人のご利用者を支える現場です。
だからこそ、「人間関係の安定」はチーム運営のカギになります。
経験を積んだリハビリ職は、こんな特徴があると感じています。
- 他職種と話すときの“言葉選び”が丁寧
- 意見を言うべきところと、聞き役に回るところのバランスがうまい
- 感情的にならず、冷静に対応できる



特に40代ともなると、「揉めない・こじれない」空気感が自然と身についてくるよね
施設の中で、こうした落ち着いた対応ができるスタッフはとても貴重です。
「この人に任せておけば安心」
「ご家族対応もスムーズにお願いできる」
そんな職員がいれば、ご利用者さんへの支援の質をグッとあげることができます。
③ リスク管理ができ、安心して仕事を任せられる
リハビリの現場に事故やリスクはつきものです。
- 転倒・転落
- 急変対応
- 食事中の窒息 など…
とくに老健は「生活の場」でもあるため、ご利用者の自由度が高く、事故が起こりやすい環境です。
ご利用者さんの身体状況、生活パターン、福祉用具についての知識がなければ、的確な対策を立てることはできません。
また40代・50代になると、自分自身の体力の変化も感じるようになります。
- 無理をして支えるのではなく、安全な手順を優先できる
- 「これ、今やると危ないかも?」という先読みが自然にできる
という特徴を持つため、事故を起こしにくいという特徴もあります。
安心して任せられる人がいることで、全体のパフォーマンスが上がっていきます。
老健への転職を成功させるコツ
「人生100年時代」と言われるいま、私たちは長く働くことを前提に、ライフスタイルもキャリアも柔軟に見直す必要があります。
40代ともなると、仕事に慣れてきた一方で、
- 家庭
- 健康
- 老後の備え
など、これからの人生を真剣に考えるタイミングでもありますよね。



…この歳で転職するなんて、遅すぎないかな?



むしろ、40代は「転職の再適齢期」でもあるんです
なぜなら、即戦力や安定感を求めている職場にとっては、最も当てはまりやすい世代だからです。
実際に私の職場では、40代・50代の採用希望者は、書類・面接ともに通過率が高い傾向にあります。
転職のタイミング、いつがいい?



転職するのにベストなタイミングはあるの?
転職するタイミングについてよく聞かれるのは、「9月、1月、4月は避けた方がいい」という意見です。
理由は下記の通り。
- 9月・1月:ボーナス後の退職希望者が多く、ライバルが増える傾向があるから
- 4月入職:新卒と重なるため、場合によっては不利になることもあるから
とは言え事業所側の本音としては、
「必要なときにすぐ来てくれる人」が採用されやすい傾向があります。



いつでも動けるように準備しておくことが大事!
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【まとめ】老健への転職は怖くない!
最後に、この記事のポイントを振り返りましょう。
まず老健に転職することで得られるメリットは、以下の3つです。
さらに老健は、即戦力となる経験者を求めています。
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私自身、さまざまな職場を見てきたなかで、「老健で楽しそうに働く40代・50代療法士」にたくさん出会ってきました。
収入アップも、やりがいの再獲得も、あきらめる必要はありません。
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それでは、よき療法士ライフを!














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